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VINTAGE
  • 2025年10月24日
  • 2025年9月17日

ハイブランド買取物語6 リシャールミルの時計 橘翔太の場合

光沢を放つメルセデス・ベンツから降り、真新しい自宅のドアを開けた。
靴を脱ぐ橘翔太(35)の足元に絡みつくのはヨークシャーテリアのここあ。
元気一杯の子犬は全身で喜びを表している。

「お帰りなさい、あなた」

子犬の相手をしていると、部屋の奥から妻がのっそり出てきた。
大きなお腹を抱えてゆっくり歩いている。

「ただいま。無理して出迎えなくていいのに」
「お医者さんから動くように言われてるから」

新しいいのち

もうすぐ臨月だ。
妻のお腹を撫でながらまだ見ぬ我が子に想いを馳せる。
俺と妻の子なのだから、きっと可愛いにちがいない。
ああ、会える日が楽しみだ。

「なあ、名前はどうする?」
「名前より先にやることがあるでしょう?」
「……分かってるけど……」

妻の苦言にはあ、とため息をつく。
建てたばかりの自宅には、もちろん子ども用の部屋を設けてある。
しかしまだ生まれていないという理由で、子ども部屋には橘の趣味のものを置いてあるのだ。

「ベビーベッドを置いたら部屋がいっぱいになっちゃったじゃない。もうすぐ生まれるんだよ?そろそろ片付けて」
「……」
「返事は?」
「はい……」
「晩御飯の後で片付けようね。私も手伝ってあげるから」
「はい……」

気の進まない断捨離

若くして建築会社を設立し年商数千万円超を稼ぎ出す社長となった橘も、妻には頭が上がらない。この凛々しさに惚れたのだからどうしようもない。
夕飯を終えて子ども部屋に足を踏み入れた。
中には橘がコレクションしている高級腕時計が、ケースに入っていたりいなかったりして散乱している。

「我ながらよく集めたなあ……」
「感心してないで仕分けするよ」

妻から段ボール箱が手渡された。
気は進まないがこれも子どものためだ。
仕方なく橘は、残すものと手放すものの仕分けを始めた。

「なあ、トランクルームに預けるってのはどう?」
「賭けてもいいけど、預けたら一生そのままだよ。もう二度と見ることはないと思うよ」

ピシャリと言い放たれてトランクルームに預ける案は却下された。
それもそうだと思った。思ってしまった時点で自分の負けである。

東京のハイブランド買取専門店を選んだ理由

仕分けは1週間かかった。
これだけ時間をかけたが処分する腕時計はほんの数点。
デザインが若すぎて今後使えないリシャールミルと、2〜3回つけて飽きてしまったロレックスをいくつか。
その他はすべて橘の書斎に押し込んだ。
「思い切りが足りないよ」と妻になじられたが、大切なものは大切なのだ。手放すなんてできっこない。

手放すと決めた腕時計は、東京の買取専門店Dan-Sha-Ri(ダンシャリ)で売ることにした。
橘の自宅付近にも買取店はあるが、ハイブランド専門ではない。
それに、東京の方が片田舎のここよりも取扱量が多いだろうから、正確に査定をして適正価格で買ってくれるだろうと思ったからだ。

手軽に使えるLINE査定

多忙な橘はLINE査定を依頼した。
写真は器用な妻に撮ってもらった。
「こういうのは付属品も傷もしっかり撮った方がいいのよ」とお腹を気にしながら何枚も撮影していた。

翌日には査定結果が届いた。
買った時の定価にはもちろん及ばないが、中古でこの価格なら手放せる。
橘は売却を決意した。

段ボール箱にリシャールミルとロレックスを入れ、それぞれのギャランティカードや紙袋(無頓着な橘は買った時の紙袋を捨てていなかった)などを入れ込み、ヤマト運輸に取りに来てもらった。

便利な仕組みだ。
忙しくても少し空いた時間で売却できる。店まで行かずにすむのも助かる。
さて、あとは入金を待つだけだ。
「じゃあ、ここあの散歩に行ってくる」
と靴を履いていた時だった。

後ろからパシャッと水音がして、振り返ると妻の足元がビシャビシャに濡れていた。
「どうした!?」
真っ青になってガクガクと震える妻に駆け寄る。
「わ、わかんな……い、けど、たぶん、破水した……」
頭が真っ白になった。

ある幸福な家庭の1シーン

「あっ!ここでスターはずるいよ」
「パパが暫定1位だ」
テレビ画面の中でカートが転倒した。慌てて立て直すが追いつけない。
「あ〜あ、パパとこのゲームで勝負するといっつも勝てないからつまんない」
コントローラーを放り出すと母親に抱きついた。
「それで、さっきの話の続きは?パパその時のお金、どうしたの?すっごい金額になったんじゃないの?
「お前のおむつとか服とか絵本とかおもちゃとか自転車とかになって消えた」
「ええ〜!?そんなんで使い切る!?」
「パパ照れてるの。本当はあなたの入院費になったの」
「ああ、生まれた時に病気だったんだっけ、わたし」
「生きた心地がしなかった」
「でも生きてるよ」
「気持ちの問題」
「まあ、まとまった現金があって助かった。治療費バカ高かったからなあ」
「そうなの?しょうがないなあ。わたしが大きくなったらいっぱい稼いでパパにお小遣いあげる」
「そうか、気長に待ってるよ」
橘家には今日も明るい笑顔が溢れている。